アメリカ合衆国大統領訪日に際しての要望書 日本ウイグル協会

来日したオバマ米大統領への要望書が日本ウイグル協会から提出されました。


2009年11月13日アメリカ合衆国大統領訪日に際しての要望書 日本ウイグル協会
http://uyghur-j.org/news_20091113.html

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アメリカ合衆国大統領訪日に際しての要望書

2009年11月13日

オバマ大統領閣下


日本ウイグル協会は、オバマ大統領閣下の訪日を歓迎いたします。私たちは、今回の大統領閣下のアジア歴訪により、アメリカと各国の親密な関係が構築され、協力と友好に資するものと確信しております。

それと同時に、人権と自由と民主主義を尊重するアメリカ合衆国の大統領が中国を訪問することにより、私達の同胞であるウイグル人の置かれている悲惨な現状に、光を当ててくださるものと期待しております。

先日、ウルムチ事件の実行犯であるとして死刑判決を受けた者らの死刑執行が行われたとの報道がなされました。本当に「暴動」を扇動したのか、証拠は不十分なままに、彼らは殺されてしまったのです。

今年7月5日に起きたウルムチでの事件は、それに先立つ6月26日に広東省の玩具工場で起きたウイグル人襲撃事件の解決を願い、犯人を逮捕するよう要求する平和的なデモでした。しかし現地の政府は武装警察を投入し、無差別な発砲により数百人を射殺し、さらに数人を装甲車でひき殺すなど、激しい弾圧を行いました。

中国政府の公式発表では192人の死者となっていますが、実際には武装警察や漢人の報復行為によって数千人のウイグル人犠牲者が出ているとみられています。また、今でも多くのウイグル人が逮捕され、監獄に閉じ込められ、拷問を受け、死に至っています。

そもそも6月の事件で殺された広東省在住のウイグル人達は、経済的な理由による出稼ぎ労働者などではなく、中国政府が政策的に強制移送した人々です。

ウイグルの人々が直面しているのは、文字通りの民族浄化政策であり、その一環としてウイグル地域への漢人の大量移住が政策的に行われ、そして数十万人のウイグル人の若者が中国内地へと強制移送されているのです。

また民族の根幹を成す言語や文化、信仰などへの制限も益々強化されています。公教育からのウイグル語の追放、児童や学生の宗教活動への参加の禁止、伝統文化の破壊なども行われています。

世界ウイグル会議傘下団体の日本ウイグル協会は、1000万人のウイグル人を代表し、アメリカ合衆国大統領閣下が中国政府に対し以下のことを要求するよう、お願い申し上げます。


1.信教の自由を尊重すること

オバマ大統領閣下はエジプトでの演説で、ムスリム世界を重視すると発言されたとのことです。ウイグルもまたムスリム世界です。オバマ大統領閣下にはウイグル人イスラム信仰も重視して頂き、改善に向けて働きかけて頂きたいと願っております。

2.7・5事件に参加し逮捕されたウイグル人らに対し、死刑執行をやめること

3.多くの無実のウイグル人に対する不当逮捕をやめさせること

中国政府は治安維持のために「厳打」というキャンペーンを度々行います。しかしウイグル地域においては通常の犯罪以外にも適用され、大勢の逮捕者を出しています。ウイグル人による政府への待遇改善の要求でさえ「分離主義者」として断罪されています。

4.ウイグル人の政治的、経済的、文化的、信仰的な基本的人権と自由とを尊重すること

7・5事件から今までウイグル地域の通信、インターネットは遮断され、内部の情報や、家族の安否などは確認できない状況になっています。ウイグル地域は地球上に存在しないような状態に置かれています。

5.無実の逮捕者を釈放し、自国の法律に従って公正な裁判を行うこと

現在多くの人々が不当に逮捕されていますが、弁護士をつけることも出来ず、ごく短期間の審理で死刑判決が出されるなど、公正な裁判が行われているとはいえない状況です。


日本ウイグル協会 会長 イリハム・マハムティ